海上釣堀

 先日釣り好きな社員に連れられ海上釣り堀とやらに初めて出かけました。私は釣りの初心者どころか、魚を触ることさえもまともにできないので、準備は全てお任せでやっていただきました。釣り始めてものの1分も経たないうちに、魚が掛かりましたが釣り上げる直前に糸が外れ、海中深く帰っていきました。そんなこともあり釣り堀なんて素人でも釣れるな、と自信気にその後も糸を垂らしましたが、それからはいっこうに釣れません。一緒に行っていた皆さんは、1mはあろうかという青物や大きな鯛などを次々に釣り上げます。それを真似て仕掛けの長さを変えたり、釣れたポイントを譲ってもらったりしたのですが、私だけが釣れません。何が違うのか観察していますと、よく釣る方は竿や餌や場所を変えたりと絶えず動いています。それを真似てやってみるのですが、そこはキャリアの違いですね、ほんの少しの違いで差がつきます。
 そんな悪戦苦闘しながら、最初はたかだか10m四方の網の中での戦いと、タカをくくっていた私は、頭の良い魚に完敗しました。しかしその時気づいたのですが、たかだか10m四方と考えること自体で私は負けていました。人間と違い魚には平面的な面積に加え、高さという立体的な体積が行動範囲なので、ほんの30cmも違えば全く違う空間になります。そう考えますと、人間というのは結構狭い範囲でしか行動していないことが分かります。陸地の範囲内で、しかも平面的にしか行動していません。それに比べ、魚にせよ鳥の行動できる範囲は、面積に加え、高さが加わった何万倍もの物凄く広い行動範囲です。
 もし、人間が空間まで自由に行動できる生物だったとしたら、今の生活が、今の家や家電が、今の服が、どう変化していたのか全く想像すらできません・・・。