中国高速鉄道事故

 中国におけるあまりにも急速な経済発展と生活環境の向上は、高度成長期の日本を彷彿させると一部では言われていますが、私にはそうは思えません。今の中国の発展と日本の高度成長期との最大の相違点は、経済を「誰が」発展させているか、です。敗戦後の日本は、殆どの国民が貧困に苦しみ、その苦しみから抜け出すために、全国民が同じ方向を向いて一生懸命に汗を流した結果として、所謂「一億総中流」となったのに対し、今の中国は、ごく一部の大金持ちが、金融や不動産投資、事業投資をすることによって経済発展をもたらしています。日本でもある程度そうであったと思いますが、今の中国ではそんな歪んだ経済発展の影でもっと酷い様々な歪みが生じています。その歪によって、7月半ばには大惨事となった高速鉄道の事故が起きました。中国政府は今までアジアや東南アジアにおける領土問題をはじめ、SARSなどの感染症問題など、事故の処理や国際紛争など、我々には到底考えられない対応で、自国民や他国に対応してきました。この高速鉄道事故も事故原因の究明を全く行わぬまま、発生の次の日には運行を再開した挙句、事故車両を埋めるというウルトラCまでも行いました。
 しかし、今まではそういった自国政府中心的な対応で何の問題もなかったものが、幸か不幸かこの事故以来、中国国民を大きく動かした事は事実で、それまで批判的な報道を“行えなかった”メディアが、正々堂々と批判し、検疫で意見を”完全削除“されていたネットも検疫しきれなくなったのか、国民の批判が堂々と投稿されるようになってきました。
 これからは国際社会において”経済的には既に先進国“である中国も対応や言動からも先進国の仲間入りを果たすことができることを願います・・・。