犬たちを送る日

 以前愛犬を連れて、奈良県宇陀市にある「うだ・アニマルパーク」に出かけました。なんとここは、入場料や駐車場は無料で、動物とのふれあいや、バター作り、乳搾りや、えさやり体験、その他いろんなイベントがあり、私は犬連れでしたので入場の制限はありましたが、子供連れにはとても良い施設だと思います。
 その中で、「動物愛護センター」と書かれた施設を愛犬を抱いて覗き込んでいましたら、気付いた職員さんが中からわざわざ出てきて頂き、施設について丁寧にご説明下さいました。そこは野犬の捕獲や捨犬猫や飼えなくなった犬猫の引取り、その犬猫の里親探しや、殺処分などを行う施設らしく、そこでお聞きした現状は、本当に無責任な人間の現状そのものでした。年間数千頭という想像を絶するほどの処分される犬猫。その中でほんの一握りだけ救われる命。そんなことに心を痛めていた私は先日、「犬たちをおくる日」という児童書を社員から紹介されました。それは児童書ではありますが、ティッシュ片手に何とか読み上げられるという次元です。内容は愛媛県動物愛護センターの方々を取材した著書で、そこには、前に聞いた以上の人間の身勝手さや、犬猫がどのようにして処分されていくのかが、克明に写真付きで書かれていました。
 ここで著者が自ら操作をしてガス処分をした犬について書いた文章を紹介します。「中略・・その死に顔は、人間を恨んでいるようには見えなかった。彼らはきっと、最後のその瞬間まで飼い主が迎えに来ると信じて待っていたのだろう。・・中略・・“誰かを嫌いになるより、誰かを信じているほうが幸せだよ”犬たちの声が聞こえる。この「命」どうして裏切ることができるのだろうか・・・。」
 命の尊さを、その責任を、今一度考えましょう・・・。