食の安全

 最近になってようやく世間では「食の安全」が声高に叫ばれるようになってきました。私はたまたま20年程前に食の安全に関する本を読んだ時に、養殖魚の奇形の多さや、輸入食材の農薬の危険性、加工食品の合成保存料の危険性などを知ってはいたのですが、現実問題としてそれらの食材を避けて購入したり、安全と思える食材を常に購入することはとてもコストがかかったりと、危険性は避けられない問題であると思っていました。また仮にそのような食材を手に入れても、食材の明記していない場所で外食したり、加工食品を合わせて摂ったりすれば元も子もなくなります。現実的に考えて今の社会で全ての食材を自給する事は困難であるといえますのである意味仕方がないと諦めるしかないのでしょう。
 一昔前までは皆が食べることに必死であった為、安全や信用というものは二の次で、「より安く」手軽に入手できる食材が優先されてきました。それが現在では、「より良い物をより安く」という供給側としては非常に難しいテーマが突きつけられるようになってきました。これが、正常な範囲での競争であれば良いことなのですが、競争が徐々にエスカレートしていき、終にはコストを下げ大量生産するための過剰な農薬散布、また生産地や原材料の偽装などの不正を行わなければ成り立たない程の異常な領域まで入ってきてしまいました。
 確かに生産者が危険性を知りながら自らは食さない農作物を出荷することや、製造業者が原材料を偽装して生産するなど許されるものではありません。しかし、そうせざるを得ない状況に追いやっている責任は、消費者の過剰な要求にも責任があると言えるでしょう。ですから常識的に考えてこの金額で購入できるわけがないと思えるものや、便利すぎるものをもっと疑問に思えば状況が良くなっていくのではないでしょうか・・・。