佐賀のがばいばあちゃん

 ある夕飯の席のことだった。「ばあちゃん、この二、三日ご飯ばっかりでおかずがないね」俺がそういうと、ばあちゃんはアハハハハハハハ・・・と笑いながら「明日は、ご飯もないよ。」と答えた。俺とばあちゃんは、顔を見合わせると、また大笑いした。今から四十年ほど前の話である。 徳間書店 佐賀のがばいばあちゃん より 
 もう既に読まれた方も多いと思いますが、話題になった当時から大分時間が経って島田洋七さんの「佐賀のがばいばあちゃん」を読ませて頂きました。読んだ人は皆「よかった。」と口をそろえて言っていましたが、私も読み終わって「読んでよかった本」と心から思えます。戦後の混乱期を終え、高度成長期を迎えた昭和30年代半ばに、当時でもかなりの貧しい生活を送らざるを得なかった幼年期に、豪快で底抜けに明るいおばあちゃんに一人預けられ育てられた実話を、面白おかしく、また涙溢れる体験談として語られている事に感動を覚えます。冒頭の文章は、この本の最初の書き出し部分なのですが、その後に続く文章も考えさせられるものがあります。
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「今、世の中はひどい不景気だ」とみんなは言うけれど、何のことはない。昔に戻っただけだと、俺は思う。変ってしまったのは、人間の方だ。
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お金がないから、不幸。今は、みんなが、そんな気持ちに縛られ過ぎていると思う。大人がそんな考えだから、子供も健やかに過ごせるはずがない。
                      同上
 確かに今の世の中、私を含めてお金はないよりあった方がいいという風潮があるように思われますが、この本を読み終えますと、そんなことは関係なく全て気の持ち様であるなと再認識させられます。そんな「がばいばあちゃん」の名言を何点かピックアップしてみます。
 ・貧乏には二通りある。暗い貧乏と明るい貧乏。うちは明るい貧乏だからよか。それも最近なったのと違うから、心配せんでもよか。自信を持ちなさい。うちは、先祖代々貧乏だから。
 ・人に気づかれないのが本当の優しさ、本当の親切。
 ・人間は死ぬまで夢を持て。その夢が叶わなくても、しょせん夢だから。
 ・通知表は0じゃなければええ。1とか2とか足していけば5になる。人生は総合力。
 こんな、「がばいばあちゃん」は91歳で大往生されたらしいのですが、2000年には「おさのばあちゃん生誕百年」の大宴会が開かれたそうです。
 こんな人を目指してがんばってみようと思います・・・。