結婚式

 昨年の暮れに友人の結婚式に出席させていただきました。さすがに私もこの年になりますと、いろんな式に出席させていただきましたが、その式は最近巷ではよくやっているらしい「人前結婚式」という式らしいのですが私は初めての体験でした。その式は神父さんもおらず、そこに出席している全員が立会人となって二人の結婚を確認するという方式ですが、よく考えてみれば仏教徒の多い日本人には、神様の前で神父さんに誓いを行うより、現実に目の前にいる友人や知人の前で誓いを行うという行為のほうが合っているのかなとか一人で思いながら立会いをしていました。
 そして次第に式も進み、友人と新婦さんが出席者の前で指輪の交換や誓いの言葉を宣誓しだすと、何か少し私の中に込み上げるものが出てきまして「ジーン」としていました。そんな式も滞りなく終了し、.披露宴会場に移ってからは先ほどの「ジーン」と言う感情もどこかに吹き飛び、大酒を喰らっては同席している友人と馬鹿話をしっぱなしでした。そんなケタケタ笑っていた披露宴も佳境に入り、新婦が「ご両親への感謝の言葉」なんかを涙ながらに語り始めようものなら、先ほどの「ケタケタ」笑っていた気持ちはどこかに吹っ飛んでしまい、大酒を喰らっていることも拍車をかけてまたまた「ジーン」となっていました。
 披露宴も終わり、運転代行を呼んで後部座席でくたばって帰る道すがら、ふと「俺って昔からこんなに涙もろかったっけ?」と考えてしまいました。初めて出席させていただいた結婚式なんかは、それこそ「恥かかんようにせんとな」という緊張でそんな気持ちなどは微塵も感じなかったのは当然のこととしても、出席させていただく回数に応じて段々と「ジーン」とくるようになってきています。また、TVドラマや映画などを見ていても、昔は「親父、何でこんなんで泣いてんの?」とよく言っていたのを思い出しますが、今では妻に「なんで、こんなんで泣いてんの」と言われてしまうようになってしまいました。
 「年をとると涙もろくなる」とよく言われますが、そのカラクリは何なのでしょう?いろんなことを体験したからこそ、その立場が分かるようになってくるからでしょうか。それとも精神的に弱くなってきているからなのでしょうか。今考えると非常にヒドイ事をしていたとつくづく思いますが、確かに幼少の頃は昆虫などを意味もなく「殺戮」していましたし、人を傷つけるような言葉を平気で発していたようにも思います。
 本当はどっちが動物である人間の本性なのでしょうか・・・。