業界のシキタリ

 最近立ち寄った本屋で、ふと目に止まった本があり購入しました。その本は青春出版社から発行されている 「お客には言えない!あの店、あの仕事 ここだけの話」という題名の本でした。読み進めていると「ほう、ほう」とか「そんなことやったのか」と思うのと同時に「そんなん知ってるわ」とか「いまさら敢えて言わんでも」という内容のものが多くありました。
 昔から、その業界業界で「シキタリ」や「シュウカン」「ナラワシ」などありますが、それはその業界内だけでの「内緒事」や「決まり事」であり、それが外部にはあまり漏れるものでもなかったのですが、今では「情報開示?」が徹底されてきまして、いろんな業界の「内緒事」が表に出るようになってきました。
 そんな「内緒事」を持っていたその業界関係者は、そういった内容が世間にあからさまになるに従って、当然に仕事がやりにくくなってきたとは思いますが、その「内緒事」というのは、ほとんどの場合が、業界関係者が「得」する事であって、消費者や利用者にとっては「損」する事柄が多かったのは事実です。そう考えますと、今の「情報開示?」されている状況というのは、消費者や利用者にとって歓迎すべき状態である事はいうまでもありませんが、逆にいろいろな業界関係者にとっても「内緒事」を行う事によって「楽」をしてきた関係者や、「得」をしてきた関係者が淘汰され、「当たり前の姿勢」を貫いてきた関係者が生き残るという状況に近づいてきているとも言えます。しかし現実は、そういった状況がどれだけ近づいても、そんな綺麗事だけではビジネスは成り立ちません。
 例えば本当に極端な話をすれば、さかな屋さんが昨日仕入れた魚と今日仕入れた魚があり、どちらも全く品質的に問題がないにも拘らず全員のお客様に対し、「こっちの方が新しいよ。こっちを持っていき。」とやってしまえばいつまでたっても昨日の魚は売れません。こんな事は極端すぎると思われるかもしれませんが、物事の判断基準というものは、人それぞれ違うのですから、魚の鮮度を重要視する人と、どちらでも良いと思う人ではその店の評価は変わります。
 そう考えますと、ある程度の「策略」はビジネスの世界では容認されなければならないと思いますが、常識的に言うその「ころあい」や「度合い」を超えてしまうか超えてしまわないかが、ビジネスの中の「まじめさ」の基準なのかなと思ったりします・・・。