寺子屋2

 前回このコラムで書かせて頂いた名張青年会議所主催「大人の寺子屋」の中山靖男先生の講義をもうひとつご紹介します。青年会議所では20歳から35歳までの若者を対象に「青年の船」という船を年1回開催し、1週間その年の目的地まで往復の航行を行うそうです。その中の講義での出来事だそうです。
 中山先生の講義が終了され、その後に講義する先生がお話しを始められました。そのはじめに、講義を受けている若者全てにこんな質問をされました
「あなたの仕事は何ですか?」
 皆はその質問に対し指名されたら答えられるように、それぞれの仕事を思い出していたようです。しかし先生は誰も指名せず、再度「あなたの仕事は何ですか?」と繰り返されました。誰も指名されないままその静かな時が過ぎ、再度「あなたの仕事は何ですか?」と問いかけられた時、一番前に座っていた青年が勇気を出して「水道関係の仕事をしています」と答えました。しかしそれは、とても小さな声でした。 先生はそれを聞き「その水道関係というのは、あなたがやっている職種であり、私が問いかけているのはあなたの『仕事』です。」 若者は答えました。「水道の配管をつなぐ工事を、私が指揮をしてやっています」と。 先生は再度「それは、あなたの職種を具体的に言っていますよね。私が聞いているのはあなたの仕事です。」 青年は「????」となり、もう答えることができませんでした。
 そこで先生がゆっくりと話し始めました。
「あなたは、その職種をやっている事で、その相手の方の役に立っているのではないですか?」 「究極的に言い換えれば、あなたの仕事は『人の役に立つ』事なんです。」 「水道関係の職種は『人の役に立つ』事を実現させる為の手段であり、あなたの仕事、すなわち最終目的は『人の役に立つ』事なんです。」「すなわち、皆さんの仕事は『人の役に立つ』事なんです。」 「あなたがその気持ちを持っていれば、また、あなたが暮らすその街の皆がそんな気持ちで仕事をしていたら、その街はきっと素晴らしい人・街・暮らしが出来上がるはずです。」

「人は人のために存在する」そんな事が当たり前な街に・・・・。