拉致

 【拉致】・・・無理に引き連れていくこと。引致。「不法ー」 (旺文社 国語辞典より)
 世間では北朝鮮による拉致事件について連日の報道があります。事件の真相が明らかになる度に、ご家族の心境には到底及びませんが、いたたまれなく、そして非常に残念に思い報道を見つめております。私たちにとっては、報道が始まった時点からの心配事ですが、ご家族にとっては「拉致」された20年以上前からの心配事で、幾夜も眠れぬ夜を過ごされたことと思います。
 現在の私たち日本人にとって、今回の「拉致」については到底理解できない事件であり、決して許されるべきものでないことは、万人が一致した意見だとは思います。
 日本人のほとんどの方が「許されるべきでない」と感じ、国家的に批判を受けるような行動をなぜ、北朝鮮の一部の人たちは起こしたのでしょうか。それは国家的背景、民族間の思考、思想の相違等、いろいろと原因が複雑にあるとは思いますが、その答えは過去の歴史を振り返れば少しは答えが出てきそうです。
 明治維新以降の過去の日本は、大陸等の植民地支配を行い、その時にとった行動は、現在の日本人にとって信じ難い行いがあったと伝えられております。その時代の日本人の思想は、現在では理解しがたく、軍事国家としての正統を貫いていました。そう考えれば、その時代に植民地支配下にあった人々は、当時の一部の日本人の行動を「許されるべきでない」と思っていたことでしょう。
 そういった過去の歴史や背景が複雑に絡み合って、この双方の問題の解決は非常に難しいものだと思います。ただ、双方の時代は違うとはいえ、お互い行った「拉致」や「過去の一部の日本人の行動」が許されるべき問題でないことは明白です。
 しかし、今回の「拉致」に関した出来事で、私個人として非常に腹立たしく残念なことがあります。それは在日朝鮮人に対し「人民服を着た女子学生に罵声を浴びせたり、暴行を加える」「嫌がらせの電話や、手紙を送る」等の日本人がいることです。何故、特に女子学生や子供等の弱者に対しそのような事をするのか、そのような行動が「拉致」を行った事とその人たちにどういう関係があるのか。北朝鮮の「拉致」関係者に対し行うならまだしも、関係のない身近にいる北朝鮮人の方に嫌がらせを行う・・・・
 現在を生きる同じ「人間」として許せない行動です。
 このコラムでは、これからも私の身近に起こった出来事や感想、皆様からの御意見・御希望等を定期的に掲載し、伊賀地区にお住まいの皆様と私共のにささやかなコミュニケーションを育ませていただければと思っております。何か思い立つことがございましたら、是非Eメールやフリーダイヤルでお寄せください。心よりお待ちしております。