T字型人間

 先日、ある国立大学の准教授と食事させていただく機会がありました。その方は以前にこのコラムでも書かせていただいた方で、お付き合いはもう20年ほどになります。毎回、お会いすると時間の経つのをすっかり忘れるほど、話し込んでしまいます。正直申しましてその方の頭の構造と私では、本当の意味で月とすっぽん以上の格差があるのですが、余りにも差がありすぎるからでしょうか、意外に話がとても合います。(合わせてくれているのでしょうが)そんな彼と地球のエネルギー問題についてや、政治問題、国際情勢、宗教に対する認識などについて、ありとあらゆる分野を私なりにとても頑張って話をしていたのですが、さすが敵は並大抵の頭の持ち主ではありません。ほぼ全ての項目で敵うものはありませんでした。私が彼に唯一アドバイスできたものとしては、彼自身の資産形成や資産運用についてでした。流石にその分野については私のほうに分がある、というより彼らはそんな発想すら全くなく、それこそ給与が幾らであるかさえも正確に知らないようで、知らない間にどんどん普通預金に貯まっているような状態のようです。そんな話をしているなかで、彼から非常に興味深い事を聞きました。それは、彼らが学生の時から教授などに良く聞かされていた言葉だそうですが、今は自身が指導的立場になって学生にその事を伝えているようです。
 それは、【T字型人間になれ】ということです。その意味は、T字の上部の横線のように、何事にも広く対応できつつも、ある分野では人よりも深い専門性を持て、ということです。確かに彼らのような頭のできが違う人種は、かなり深い専門分野を持っている場合が多く、逆にそれ以外のことには全く無頓着というか無知だったりするケースが多く、そんなバランスの悪い人間になるなということらしいのです。いや、私もT字型人間を目指して日々精進してみようと思います・・・。