抑止力

 最近、年金機構や東京商工会議所の個人情報流出が相次いでいます。年金機構の報道を見ている限りでは初歩的なミスで非常に多くの方々に迷惑をかけたことについて年金機構は責任回避することはできないでしょう。ウィルスに関する教育が徹底されていない事や、公表の遅延など、本当に初歩的な事柄ばかりで年金機構の責任感の無さが表れていると思います。しかし、この種の問題は、そもそも人が作ったものを人が防御しようとしているわけですから根本的に世界が性善説で成立しない限り完全に防御することは不可能な事です。ただ、多くの情報漏えいをしたその組織が、先述のように防御に対する意識が低かったり、甘かったりするケースが多いのは確かです。そして、世間はその組織を非難し、またそれが原因で犯罪に巻き込まれた場合には、その組織に対しての非難が高まったりします。この風潮を変わり者の私はいつも何か腑に落ちない感覚で見ています。
 確かに落ち度があったりして非難されるのは仕方の無い事です。ただ、「意図的に情報漏洩した」わけでなく、逆に「意図的にこの情報を盗んだ」犯人には全く非難も触れもせず、ある意味「被害者」であるその組織が一方的に責められている事が理解できないのです。これは「悪い奴には何を言っても始まらない」と思っての事だと思うのですが、それで終わってしまっては、善と悪の攻防合戦がエスカレートするだけで、何のメリットも生じません。
 これを解決させるためには、意図的に悪事を企んだ場合の罰則を強化させることである程度は解決できるはずです。悪事を働くメリットと、捕まった場合のリスクを天秤にかけて、リスクが「圧倒的に大きければ」犯罪に対する「抑止力」になります。
 悪意を持って悪事をする輩が非難を浴びない風潮こそ、無くしていかなければならない事だと思います・・・。