【コラム】最終話2

前号からのつづき。
余命半年と宣言され、それから社員には無理を言って妻と愛犬4人で日本中を旅してまわりました。その甲斐あってか病気の進行は止まり、半年後には私も仕事に復帰しました。それから2年半ほど経過し、立て続けに愛犬が亡くなったことで妻の病状が悪化、その半年後に妻は天へ召されてしまいました。
 このことがあってから、それまで「趣味は仕事」と豪語していた私も、自分は何のために働くのか、また死というものが頭で解っていても心では全く理解していない事がはっきりとわかり、大きく人生観が変わりました。それまでは、会社の繁栄、地位、名誉、名声、お金、などを追い求めることによって「幸福」を得ることが普通であるように感じていた自分が、その先にある「幸福」というものの捉え方に大きく変化が生じ、その結果、今まで必死に追い求めていたのに得られなかったものが自然に得られたり、またそれ自体を求めなくなるようになりました。また、新たな伴侶も見つけ今までとは違う人生を歩み始めました。そうなってきますとこの会社も、地域の皆様のおかげで、決して潤沢ではありませんが安定した業績を出せるようになってきた今、業務に前向きな人員に引き継いでもらい、私は完全に卒業したほうが良いという思いで今回の判断とさせて頂きました。良く聞かれるのが私自身として次に何をするのか、という事ですが、今は特に具体的な目的はありませんので。
 これまで同様地域の皆様には、誠心誠意尽くす社員ばかりであるこの近畿不動産販売を、これまで同様何卒ご贔屓賜りますよう心から申し上げまして、私の最後のコラムを締め括らせて頂きます。
 14年間本当にありがとうございました。